指が1本、2本、3本、4本
大きかったり、短かったり
なかったり、多かったり。
ひとりひとり様々な手足のかたちをもって
生まれている子どもたちは、
約2万人に1人(※)。
※裂手裂足症は先天性の疾患で2万人に1人
※先天性絞扼輪症候群は、指や腕の途中にひもで縛ったようなくびれがある病気です。
全指欠損の場合は、数十万人に1人と言われています。
わたしたちが制作をすすめる絵本につきまして
ご興味をもっていただき、ありがとうございます。
どのようにして絵本制作プロジェクトが立ち上がったのか、
現在どのような状況であるのか、これまでの過程をまとめさせていただきました。
現在、この絵本の趣旨にご賛同いただける・興味や関心をお持ちいただける出版社様を探しています。
info@hand-and-foot.com までぜひご連絡ください。
絵本制作プロジェクトが立ち上がったのは、2016年1月のことでした。
これまでの過程をまとめさせていただきましたので、ご覧いただければ幸いです。
2013年に誕生したHand&Footは、最初はちいさなちいさな患者家族会でした。
うまれつき手足にちがいをもつ家族が集まり、交流をつづけてきました。
ほんのちいさなコミュニティだったHand&Footは、2016年には全国200家族が集まる団体に。
(2021年2月現在:全国1023家族)
ご家族の方、当事者の方、本当にたくさんの方と出会っていく中で、
「気持ち悪い」
「おばけみたい」
手足のちがいについて、そんなふうに、周囲から受け止められることがある、という現状を知りました。
■先天性四肢欠損の子どもは、年間400人生まれている
国内で先天性四肢欠損の子どもは、1年に400人うまれています。
(※資料:朝日新聞報道/難病情報センター)
一般的に、ひとの指が5本でない(5本に見えない)イラストは、校正の段階で直されてしまうと知りました。もちろん、指が1本、2本、3本、4本といった「裂手」(れっしゅ)を扱う絵本はこの世にまだ存在しません。
知らないからびっくりされる。
見たことがないからじろじろ見られる。
「出会う前に、知ってもらう」ことで、はじめて出会ったときの驚き、びっくりは軽減できる。
そしてなにより、ちがいを持つ子どもたちにとって、ちがいを持つ子どもを授かったご両親にとって、
助けに、指針に、将来のバイブルになるような絵本を。
そんな思いで立ち上がったのが、絵本制作プロジェクトでした。
■実は、すぐに出版社さんは決定していました
絵本制作プロジェクトが立ち上がってすぐ、思いに賛同してくださる出版社さんが見つかりました。
その出版社さんのご紹介で、文を書いてくださるかた、作画のかたも決まっていました。
「購入見込み者が1000名集まれば、具体的に動き出せます」
そう言っていただき、1000名分のお名前・メールアドレスを集め出しました。
みんなでポストカードを配布したり、記事発信をしたりと、たくさんの方の力を借りて…2017年12月、目標の1000名を達成。
私たちの思い、気持ちをすべて書き起こし、内容を考えていく作業は
1000名達成するまでの間、話し合いを重ね、ずっとアウトプットしてきていました。
目標の1000名を達成したことで、すべての資料をお渡しし、いよいよ出版社さんと共に絵本制作が具体的にはじまっていきました。
2018年9月、予約ページの作成を開始し完成の報告をしたところで、出版社さんのやむを得ない事情により、いったん企画がストップしてしまうという報告をうけます。
その後、問題がクリアできたため再度動き出せる、という連絡が入ったのが2018年11月のことでした。
これでやっとまた進み出せるとなったとき、外部から編集者さんが入ってくださることになりました。
絵本に精通された、ご経験のある編集者さん。とても頼もしかったことを覚えています。
ようやく進みだしたかに思えた絵本制作ですが、この新たに入ってくださった編集者さんから、思わぬ言葉を言われることになります。
「この絵本、出して何か意味があるんですか?」
2019年1月。
新たに外部から入ってくださった編集者さんから、問われました。
その時の原稿が、わたしたちの思いを伝えたうえで、文を書いてくださるかたがお話をつくってくださっていたんですが、
「このお話は、あなたたちが言いたいことを伝えるための、つくり話。
これが売れたとして、意味あるんですか?」
そう伝えられました。
■「この話が胸を打てば打つほど、嘘だったときのショックは大きいです」
こうした障害をテーマにした絵本は、相当に慎重に製作する必要があること。
絵本づくりを甘く考えすぎだということ。
批判的な意見ももちろん来るであろうから、それに耐えうるだけの準備が必要なこと。
それに耐えうるだけのサポートがある出版社を探すべきであること。
なにより、会の中でストーリーをもう一度精査すべきだということ。
本来、会の中で考えるべき課題を、すべてを出版社に丸投げしているだけに過ぎないということ。
「この話が胸を打てば打つほど、嘘だったときのショックは大きいです」
この編集者さんからの言葉には、本当にハッとさせられました。
まだ出版日は決まらないんですか?
絵本どうなりましたか?
そうやって聞かれることも多くなってきたために、早く絵本を出したい。その気持ちが強く前に出すぎて、一番たいせつなことを見失っていたことに気付きます。
■自分たちの言葉で、「ほんとう」のストーリーを
ここでプロジェクトを仕切り直し、伝えたいことや思いを精査して、きちんと自分たちで、実際のストーリーを絵本にする、ということになりました。
2019年1月から約2年のあいだ、いくつもいくつもお話をつくり、話し合い、私たちの「ほんとう」のストーリーをつくりあげてきました。
何度も話し合いを重ねるも、製作は難航します。
どうしてもしっくりくるお話をつくることができないのです。
そんな中、転機が訪れました。
それは、右手裂手で、指が3本でうまれてきた小学生1年生の女の子が、
実際に学校で体験したこと、自分の思いを
「この話を絵本にしたい」と書き出してくれたノートでした。
このノートをもとに、詳しくお話をきいて、まずはテキストに。
それを実際に、絵本におこしていきました。
■小学生の女の子の、純粋な問いかけを絵本に
ノートを書いてくれた女の子は、右手の指が3つでうまれてきました。
親指の機能をしっかり果たしてくれる指がないので、学校で使っているなわとびに、リストバンドをつけています。
ものがたりは、このリストバンドがついたなわとびのことを、一番仲良しのお友達から
「いいなあ。そのリストバンドをしているから、しっぱいしないんでしょ?」
と言われるところからはじまります。
「この みぎてのリストバンドは
ママが”くふう”してくれたから つけてるのになあ」
女の子は、休み時間がおわっても、授業中も、
おうちに帰っても、ずっとずっと頭のなかで、ぐるぐると考えをふくらませていきます。
そのあとたくさん、ママとおはなしした。
せかいは くふうだらけなのに っておもった。
いわれたことを、ずっとずっと かんがえていた。
だって、みんなくふうしてる。
めがねだって、えんぴつたてだって、
おべんとうばこだって、
おなじ。くふうだらけ。
わたしの リストバンドだって おなじくふう。
(-原案メモより)
世界はくふうだらけでできているのに、
わたしの”くふう”は、どうして間違って受け止められてしまうんだろう?
ひとりの女の子の、そんな率直で純粋な問いを、私たちは絵本にすることにしました。
(-ヒアリングのメモより)
下の画像では小さくて少し見づらいのですが、絵本の見開きいっぱいにたくさんの手足のかたちが描かれたページがあります。
これは、全国の手足にちがいを持った子どもたちの、実際の手形、足型です。
この絵本は、右手にちがいをもち生まれてきた女の子が主人公ではありますが、そもそも、人は皆ちがいを持っているのがあたりまえです。
みんなと同じなのが「ふつう」なのではなく、
みんなちがうのが「ふつう」です。
ちがうからこそ出会いは楽しいし、それぞれが持っている「ふつう」を、それぞれがしている「くふう」を、出会ったときに楽しんでほしい。
2016年に絵本製作プロジェクトが立ち上がってから、約5年。
たくさんの願いが込められた、絵本の原稿とラフ案が完成しました。
長い時間をかけて、私たちが伝えたいこと。
実際に小学生の女の子が感じたことを、言葉にして・絵本にして、やっとカタチにすることができました。
とても大切なたいせつなお話を、できるだけ多くの方の目に届けたいと思い、自費出版ではなく商業出版として多くの幼稚園や保育園・小学校をはじめとした場所で、より多くの人の手にとって欲しいと考えています。
そして私たちは今、そんな私たちの作った絵本に「興味あるな」「ちょっと中身見てみたいな」「自分たちも協力できることあるかも」という、編集者の方・出版社の方を探しています。
少しでも関心をもってくださるかたがいらっしゃいましたら、
info@hand-and-foot.com までぜひご連絡を、心よりお待ちしております。