運動
2018.08.20

足の指に欠損をもつ息子、サッカーで得た学び―できないことより、できることをカウントしよう

image1

足は、日常では靴下や靴に隠れているもの。

足の指が欠損していたり、短かったり、変形していたり・・・

裸足になったときにしか見えない部分なので、生まれつきの足の形のちがいは、手のそれ以上に世の中への周知がされていないのかもしれません。

足になんらかの障がいをもつ、まだうまれて間もない赤ちゃんのご両親は
まだ小さい足を見て

・歩けるのか
・何ができて何ができないのか
・運動は普通にさせていいのか?

こんな様々な悩みをもっておられ、当法人へ相談のメッセージが届きます。

学校の運動会リレーの一場面

なりくんは、うまれつき趾(あしゆび)に欠損と変形をもつなか、年中~現在(小学校三年生)までサッカーを続ける男の子。

息子の経験が誰かの役にたてば」と、なりくんのお母様がお話を聞かせてくれました。

足の指に欠損をもつ息子のサッカー生活。子どもが興味をもったときが成長のチャンス!

現在小学校三年生の息子はうまれつき絞扼輪(こうやくりん)症候群で、両手と左足の指が欠損・変形しています。

足

息子がサッカーを始めたのは、年中の夏。
夫がサッカーを続けていたこともあって、興味を持つのが早かったのかもしれません。

サッカーを始めるときにやはり気になったのが、左足指の欠損でした。

息子の足の状態で、人並みにボールを蹴ることができるのだろうか。
ボールを蹴ることができたとしても、すぐつま先が痛くなってしまうのではないか。

サッカーは手を使うスポーツではありませんが、ボールが当たることもありますし、
キーパーになったりした場合は指への衝撃が強すぎるのではないか、という不安もありました。

ただ、息子の「どうしてもサッカーがやりたい」という意志から、Jリーグのサッカーチーム傘下が主催しているスクールで、まずは体験から始めてみることにしました。

「走れれば大丈夫!」体験初日に入会を決意

年中でサッカーを習っているお子さんは少なく、このスクールでも当初は3人しかいませんでした。

それに対しコーチは3人が配置されており、至れり尽くせりの状態で安心したことを覚えています。

体験初日、コーチに挨拶を兼ねて息子の手足の状態を説明。

そのコーチは、障がい者サッカーなどで手伝いをしていた経歴をもつかたで非常に理解があり、「走れれば大丈夫!」と力強い言葉を頂きました。

コーチの言葉通り、ボールを蹴ることも走ることも問題なく、息子のやる気は全開に。

体験後、その場で入会を決めました。

子どもは、好きなことは本気で頑張る

現在サッカースクールに通ってから4年目を迎えていますが、早いうちからサッカースクールに通っていたことでいいこともたくさんありました。

小学校でお友達が早々にでき、「サッカーといえば彼」というように、名前が出るほどになっているようです。

足の指が欠損していてもボールを蹴る力も強くドリブルもできていますし、サッカーを始めてから息子は走ることが得意になりました。

さらに意外なことに、「サッカーをもっと知りたい」という気持ちから、ワールドカップに出場する国の国旗や地理などを調べ上げるなど、学習面にも良い影響が及びました。

サッカースクールのお友達からも手足の件でからかわれることもなく、純粋に「サッカーが好き」という気持ちを持つ親友のような存在ができたことも幸いでした。

心配だったことといえば、サッカーの試合の前後に相手の選手全員と握手を交わす場面があるのですが、息子は足だけでなく手にもうまれつきのちがいがあるので、

相手の子に握手を拒否されるのではないか、
影で色々と言われてしまうのではないか、

などと考えていました。

その際は本人よりも親である私の方がどきどきしてしまいます。
ただどれも杞憂に終わったことで、今では安心してみていられます。

お友達とサッカー

サッカーを通して学んだことも多くあります。

息子はプライドが高いので、できない事があっても顔に出さず、できないと分かった時点で避けてしまうタイプでした。

サッカーを習い始めてから、特に小学校入学以降は「サッカーが上手くなりたい!」という気持ちが強まり、できないことを認めて練習するようになりました。

また、少しの怪我などにも敏感なタイプでしたが、サッカーではそんなことを言っていられません。

ボールは容赦なく体にぶつかるし、派手に転ぶし、友達と頭がぶつかり合うこともあります。

それでも、自分がやりたい事には文句を言わず、我慢して乗り越えているようです。精神面で大きく成長したと感じています。

これまでサッカーを辞めたいと言ったことは1度もなく、「子どもは好きなことをやらせてあげると本気で頑張るんだな」と、常々実感しています。

障がい者サッカーのイベントに参加する機会も

息子が通うスクールから、元サッカー選手の北沢豪さんが会長を務める「一般社団法人日本障がい者サッカー連盟」主催の、障がいを持つ人たちとのサッカーイベントの案内が来たことがありました。

迷わず申し込みをし当日を迎えると、イベントにはさまざまな障がいを持つお子さん方が参加していました。

ひざ下の欠損によって松葉杖を携えて参加しているお子さん、
聴力に障がいのあるお子さん、
発達障がいのお子さんなど…

はじめは息子も少々緊張していましたが、自身も障がいがあることで仲間意識が芽生え、本気でサッカーを楽しんでいました。

以前読んだ、執筆家・編集者であり女子サッカーの解説者もされている江橋よしのりさんが書かれた「サッカーなら、どんな障がいも超えられる(講談社)」というタイトルの書籍があります。

さまざまな障がいをもつ人たちが、サッカーに出会い、スポーツができる楽しさに驚き、自信をつかんでいく過程が書かれたこの本のタイトル。

このサッカーイベントに参加したことで、その言葉の意味を心から実感することができました。

息子は今までは色々な障害を持つ方がいることについて漠然としていましたが、イベント参加後は障害を持つ人への理解が深まり、親近感がもてるようになったようです。

親にとっても、「あなただけではない。障害があってもなくても、好きなことをすればいい」と改めて伝えるきっかけとなりました。

子どもが興味を持ったときが成長のチャンス

平河_園庭で走る様子

たまたま息子の場合は問題なくサッカーができただけかもしれないですし、もう少し足の状態が違えばまた違った選択をしたはずですが、男の子は成長に伴い多かれ少なかれ球技に触れる機会が増えていくと思います。

その際に苦手意識をもってしまうことのないよう、私たちの場合は早くからサッカーを始めて良かったと感じています。

他の習い事も同じだとは思いますし、もちろんそれぞれのタイミングや環境、手足の状態も関係しますが、本人が興味を持った時がチャンスだと思います。

ぜひ色々な情報の中から、お子さんに合った選択肢を見つけてみてください。

できないことではなく、できることをカウントしていく

私は、息子を通して世の中にいかに寛大な人が多いかを知りました。

親である私たちが思うよりも、子どもたちは自分の手足を武器に頑張ってくれます。

私たちにとって今の手の形が普通であるように、彼らにとっては彼らの手足の形が普通なのですよね。

その手足でできない事をカウントするよりも、できる事をカウントしていくと子どもも親もぐっと自信がつきます。

お子さんが興味を持ったことをどんどんやらせてみてください。とは言え、私もまだまだ試行錯誤の途中です。一緒に何かを始めてみませんか?

参考:一般社団法人日本障がい者サッカー連盟 http://www.jiff.football/

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Hand&Footの絵本

いつかふつうに出会えるように。

指が少ない子に出会ったとき、あなたはどうしますか。「ふつう」って何だろう?指がないのは「かわいそう」?この絵本をきっかけに、是非親子で話し合ってみてください。
出版日のお知らせ登録はこちら