音楽
2018.05.24

生まれつき4本の指で弾くピアノ。「できた」体験は、きっと挑戦する力の助けになる

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こんにちは!NPO法人Hand&Foot副理事長の大塚です。

以前私が書いた記事にたくさんの反響を頂き、ひとつひとつの言葉を大切に受け止めました。
読んでくださった方々、シェアしてくださった方々、コメントをくださった方々、本当にありがとうございました。

今日は上記の記事にも出てくる、もうすぐ6歳になる私の娘のことを少し書きたいと思います。

「できた」が増えると、次への挑戦に繋がっていく。
4本の指で生まれた娘が迎えるピアノ教室3年目

私は右手に裂手症(れっしゅしょう)という名前の症状があり、右手が4本の指で生まれました。

そしてそれが遺伝し、娘の両手は生まれつき4本の指をしています。

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私は6歳の頃から両親に色々な習い事に挑戦させてもらい、そのなかで「努力すればできるようになる」という成功体験を積み重ねていくことで、徐々に自信をつけていくことができました。

その経験は困難に遭遇したとき、乗り越える力となりました。

だから、

初めから指のことで「できない」と決めずなんでも挑戦させていきたい

そんな気持ちをもっており、娘は年少さんの年の5月頃から音楽教室に通っています。

これまで、うまれつき指が欠損して生まれてきたお子さんのご両親から、
指が欠損していてもピアノって習えるのでしょうか」という質問を頂くことが何度かありました。

私たち親子の経験が少しでも参考になればと思い、娘のピアノ教室について今日は書かせて頂こうと思います。

最初は不安だった気持ちが、楽しそうな娘の姿を見て薄れていった

これは、娘が生まれてきたときの手です。

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私と同じく2万人に1人と言われる裂手症で、右手は親指と人差指が癒着し、人差し指の骨は親指側に曲がっていました。

その後娘は手術を3回乗り越え、現在ではこのような手になっています。

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右手の人差指は骨を削り、くぎを数本刺してできるだけ真っ直ぐにし、皮膚移植も行いました。

今年で3年目を迎えた音楽教室。

最初は歌を歌ったり、身体を動かして表現力を高めたり。

ピアノが弾けるようになるか不安でしたが、先生が歌うことの楽しさやリズムの心地よさを教えてくれることから入ったので、「音楽」は楽しいと感じてくれたようです。

また、お姉ちゃんが同じコースを先に受講しており曲をドレミで歌ったりピアノを弾く姿を見ていたので、抵抗なく入っていけていました。

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▲(1年目)無事に修了証をもらいました!

2年目になると、簡単な曲を一本指で弾くことからピアノのレッスンが始まりました。

指一本でリズムに合わせて弾いたり、時にはグーで弾いたり…

1年目と同様に、先生が「上手に弾けなくてもいいんだ」「楽しめばいいんだ」ということを教えてくれました。

関節が固いため、右手の親指で弾くときに他の3本の指が上に浮いてしまい弾きづらそうではありましたが、娘はあまり気にせず、楽しそうにピアノを弾いていたことを覚えています。

楽しそうに歌ったり、好きなように鍵盤を弾いている娘の姿を見て、最初の心配は薄れていき、「リハビリにちょうどいいかな」というくらいの気楽な気持ちでいることができました。

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泣きながら練習を拒否。だけど、意外なことで乗り越えました

3年目となった今年からは、両手でピアノを弾く曲が始まりました。

ここまでくるとやはり楽しさだけでは続けていけず、練習を嫌そうにする姿も目立ち始めました。

泣きながら練習を拒否する娘を見て、「音楽が嫌いになったらどうしよう」と親として悩むことも多くなってきました。

ただ、ちょうどその頃発表会があり、発表会用の可愛いドレスを購入してあげたことで一度なくなりかけていたやる気が再びでてきました。

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ピアノを続けさせることに対してかなり悩んでいたのですが、こんな単純なことでまた頑張る気持ちが湧いてくるとは…(笑)。

今振り返ると、指がどうのこうのではなく、誰にでもある習い事の倦怠期だったのかもしれません。

自信がついたのか幼稚園の発表会で鍵盤ハーモニカに立候補

さらに、その頃幼稚園で音楽発表会がありました。

娘は、太鼓やトライアングル、鈴など様々な楽器があるなか、音楽教室に通っていたことで自信がついていたのか、女の子では2人しか枠がない鍵盤ハーモニカに自ら立候補。

この話を聞いて、その考えや行動してくれた娘を誇りに思い、すごく嬉しい気持ちになりました。

本番では一生懸命、そして堂々と鍵盤ハーモニカを弾く娘の姿にとても感動しました。

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弾きやすい指は自分で決める

最近では、先生に言われた指の指定に対して、「この指とこの指で弾きたい」と自分で弾きたい指を指定するようになってきました。

娘は力の弱い指・動きやすい指を自分できちんと分かっていて、親指を多用したり弾く指の順番を変更したりすることで、徐々に臨機応変に曲に対応できるようになってきました。

▼先生指定の指位置
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▼自分で決めた指位置
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親としては親指や小指をたくさん使ってくれると嬉しいのですが、本人が弾きやすいのであれば娘に任せていこうという気持ちで今は見守っています。

指導してくれる先生は、いつも柔軟に対応してくれるだけでなく、褒めるのがとっても上手!
毎回見習いたいなぁと思っています。

「できた」体験が、色々なことに挑戦する力の助けになってほしい

これまで、娘は年少の頃から週一回のレッスンをほとんど休まず続けて来ました。
(親も同伴なので、私も頑張ってきました(笑))

嫌がって練習も宿題もしなかったり、レッスン中も泣いてボイコットしたり、どうしたらいいのか分からない時期もありましたし、辞めたいと言われたこともありました。

娘は、他の子よりも弾けないことがほとんどなので不安になることもありましたし、ついつい、スラスラ弾ける他のクラスの子と比べてしまったりすることもありました。

でも、娘を信じてとにかく続けてきました。

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でもこうして今、写真を見つけたり、今までのことを文章にしながらこの2年を振り返っていると、娘は音符を読めるようになったり、両手で少しずつ弾けるようになったり、大きな声で堂々と歌えるようになっていることに気が付きました。

それだけでも充分素晴らしいことだと感じ、その事実はとても頼もしく娘の成長を感じました。

これは娘が産まれたときには想像もつかなかったことでした。

だから、「どんなに悩んでも、ピアノを続けてきたことは本当に良かったんだなぁ」と今実感しています。

ついつい人と比べてしまいがちですが、娘が自分のペースで出来るようになった事実を素直に褒めてあげたいと思いますし、一緒に喜び一緒に楽しんで、これからもピアノを続けて行こうと思っています。

このピアノの経験を通して、娘が、まずは一つ「できた」という体験をしてくれて、これからもいろんなことに挑戦する力の助けになってくれたらいいな、と親として心から願う気持ちです。

気になることは何でもやってみて欲しい、やらせてあげて欲しい

最後に、ピアノを始めたい&始めさせたいと思っている
手や指になにかしらの症状があるお子さんをお持ちのご両親へ~

色々な考えや想いがあると思いますが、私は、あえて指を使う習い事をするということに一つの意義があると思います。

様々な習い事が世の中にはありますが、手を使うピアノだからこそ、得られるものは多くあります。

ここで忘れてはいけないポイントは「上手になる事」ではなく、「楽しむ事、好きになる事」です。

つい、手を使う習い事は避けてしまいがちかもしれませんが…
「誰もが出来ない」と思うことでも、本人にとっては「出来ない」と思ってないかもしれません。

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もちろん、ピアノを弾くことが大変なお子さんもいらっしゃると思います。
5本の指の子のようにはいかないかもしれません。
ほかの人より悩むかもしれません。

でも、彼らは自分で自分なりの弾き方を、自分で見つけられるはずです。

それは、ピアノの指導者さえも思いつかない弾き方かもしれません。
それって、すごいことだと思いませんか?

そこを褒めて伸ばしてあげることがその子にとっての一番の喜びになると思います。

それに、もしかしたら、弾く事より歌うことや踊ることの方が好きだと、自分の好きなことが見つかるきっかけになるかもしれません。

何でも挑戦してみて、得意なことや好きなことを見つけ楽しくなれば、今後困難なことに直面した時、「挑戦してみようかな」という気持ちに繋がるのだと私は信じています。

私の体験のように、親が悩んでいるほど本人(未就学児時代)は指を気にしていなくて、5本の指の子と変わらない悩みが出てきて、そして、意外なところで解決してしまうものなのかもしれません。

無理やり習わせるのは違うと思いますが、
気になることは何でもやってみて欲しい、やらせてあげて欲しいと思います。

きっと、一つでも多くの「できた」が増えることで、次への挑戦に繋がっていくのだと思います。
私たちのできる出来ないの常識は子供たちにはないことが多いのです。

子供たちの可能性を信じて、一緒に挑戦する楽しさを、是非感じて欲しいと思います。

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文:LICOさん(作家/育児アドバイザー)
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